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ムダな水の原因はここにありました。
トイレ洗浄水を大幅に節減するためには、洗浄装置が流水量を正確にコントロールできなければなりません。しかし、従来のトイレ洗浄装置『フラッシュバルブ』は、もともと装置自体が、節水を目的とした流量のコントロールができるレベルの調整機能を持っていないのです。
ムダな水の原因は、従来のトイレ洗浄装置『フラッシュバルブ』の機構そのものにありました。
JIS規格で定められている大便器洗浄弁(フラッシュバルブ)の性能は?
フラッシュバルブの性能について規定したJIS規格の技術資料の中には、下記のような記述があります。
「建築用においては、弁の標準吐水量は15リットルとし、許容誤差は1.5リットルとするが、試験圧力1kgf/cm2(0.1MPa)以下においては11〜16.5リットル、試験圧力4kgf/cm2(0.39MPa)以上においては13.5〜19リットルとする。」
要するにこのフラッシュバルブは、水圧1キロ以下の状況で操作する場合なら11〜16.5リットル(66%の許容誤差)、水圧4キロ以上なら13.5〜19リットル(71%)の間で流れるものなら、流水量が操作するたびにバラバラであっても(実際問題、バラバラなのですが)正常な製品だと認められているわけです。
仮に一定の水圧のもとで操作しても、これだけの水量のバラつきが“標準吐水量の許容誤差”として、もともと認められているのが、フラッシュバルブという洗浄装置なのです。
ちなみに、水を流すときの装置の基本的な構造と動作は、“節水型フラッシュバルブ”という名前の装置であっても、通常のものとまったく同じです。では実際の水量調整はというと・・・。
「そんなはずはない!フラッシュバルブにはちゃんと流量調整ねじがついてるじゃないか!」
こうおっしゃる方は非常に多いです。確かに、“流量調整ねじ”という名前のねじがついていれば、誰でもこれで水を流す量をコントロールできると考えますし、実際にこのねじをいじれば水の流れる勢いや時間が変化します。しかし、節水を目的にした場合、このねじに十分な流量コントロール機能があるとは言えないのです。
フラッシュバルブの流量調整ネジの部分に、「11・15・・・」などの数字が入れてあるものがありますね。しかし、なぜここに「11リットル・15リットル」というように、水量を表わす単位が入っていないのでしょうか?
もしあなたがフラッシュバルブの取扱説明書をお持ちでしたら(“節水型”でもそうでないものでも、どちらでも構いません)、流量調整ねじの使い方のページを読んでみて下さい。流量調整ねじの数字に、「11・15・・・」というように単位が入れられていないのは、これらの数字があくまでも目安でしかないからです。
また、この流量調整ねじは、例えばいっぱいに締めた状態から全開まで緩めるまでの間、何周か廻るようにできています。水圧が弱い時・強い時に、それぞれ何週目で目盛りを数字に合わせれば、その“目安”の数字に近づくのかも、分からないのです。
では、なぜフラッシュバルブには十分な流量調整機能がないのでしょうか?それは先程見ていただいた流量誤差の問題と同様、フラッシュバルブが持つ基本的な構造と動作原理自体に原因があります。(もしご要望であれば、実物を見ていただきながら詳しくご説明差し上げます。)
とにかく、トイレの洗浄水量を調整する時に一番あってはならないことは、「水量が足りずに汚物が流れない」ことでしょう。この「過少水量で汚物が流れない状態を避けつつ、流水量を絞って節水する」ということは、現実的にはとても難しいことです。まして、効果が数字に表れるレベルの節水となると、不可能と言ってしまっても過言ではありません。
トイレ節水の最大の敵、水圧変動の問題。
トイレの節水には、それをさらに難しくする、やっかいな問題があります。給水管本管の水圧変動の問題です。
建物全体に水を送っている給水管内の水圧は、建物のトイレの利用状況に影響されて常に変動します。同時期に複数のトイレが使われる場合には、給水管内の水圧が下がり、トイレに供給できる水量は減ってしまいます。
このことは学校の水飲み場を思い出していただければ、イメージしやすいでしょう。蛇口を一箇所だけ全開にすれば、勢いがあり過ぎて水をまともに飲めないくらいですね。しかし、たくさん並んでいる蛇口を全部いっぱいに開いたときは、ひとつひとつの蛇口からはあまり勢いよく水は出なくなります。これとまったく同じことが、ビルのトイレでも起きているのです。
要するに、「トイレが混む時間帯ほど管の水量・水圧が落ち、余計流れにくくなる」ということです。これではツマリや不衛生の原因になりますし、利用者からクレームが出てしまいます。それに、一回の操作で流れなければ、利用者は当然2回、3回と操作します。これでは節水になるどころか、逆に水が増えてしまうことにもなりかねませんね。
まとめ
これまで見てきたことのポイントをまとめてみます。
- もともとフラッシュバルブの機構自体が、流水量にバラつきが出てもしかたがないものであり、流水量は常に不安定である。(水圧変動がまったくない状態で操作しても、66%〜71%の水量のバラつきが、“標準吐水量の許容誤差”として認められている。)
- (“節水型”を含め)フラッシュバルブには、節水効果を期待できるレベルの流量調整機能を、装置の基本的な構造上持たせられない。
- 他のトイレの使用などによる、給水管本管の水圧変動の影響も受けるため、さらに流水量は大きく変動してしまう。
さらにもう一つ、従来の洗浄装置『フラッシュバルブ』では、大用も小用も関係なく、常に大用の水を流しているわけです。これでは大量の水をトイレで浪費してしまうのも、無理もないことです。
トイレの節水に必要なのは・・・
フラッシュバルブが持つ機構上の根本的な問題と、給水管本管の水圧変動の問題。結局、これらの問題を解決しなければ、トイレのムダな水をカットしつつ、衛生的なトイレ環境を保つことはできません。
使用する便器や排水管が要求する水量を、水圧変動の影響を受けることなく、安定的に流す ― 。この究極の流量コントロール性能を実現するために、私たち木村技研は、節水型トイレ洗浄装置『アクアエース』をゼロから開発しました。流量コントロールのコンセプトにまでさかのぼり、従来のフラッシュバルブとは根本的に違うものを開発しなければ、これらの問題を解決できなかったからです。
フラッシュバルブには、価格が安いなどの長所がありますので、未だに世界中で使われています。しかし、少なくとも日本国内においては、フラッシュバルブを使い続けることによる水の浪費で出て行く水道料金コストや、環境への負荷を考える企業を中心に、フラッシュバルブの使用を取りやめる事例が確実に増えてきています。